住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電の違い

太陽光発電は他の発電方式と違って、その規模を自由に調節することができる。すなわち太陽光発電パネルの設置枚数を変えれば目的とする発電容量(出力)を得ることができる。
小型発電なら太陽光発電モジュールの枚数を減らせばよいし、メガ発電なら枚数を増やせばそれで済む。
発電規模を自由に選択できる非常に便利な発電方式だ。

 

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◆住宅用(家庭用)太陽光発電

発電容量が10KW未満の太陽光発電を「住宅用太陽光発電」と定義している。
一般家庭の標準電気使用量は1ヶ月400KWhであり、年間にすると5、000KWhです。

太陽光発電1KWの発電能力は年間1、000KWhと言われていますので、発電容量が5KWあれば自宅で使う電力を全量賄う事ができます。
(夜間使う電力は畜電池に溜めておく必要があり、蓄電池を設置すると言う条件付きです)
そのような意味で10KW未満を「住宅用」と定義している。
家庭用にと10KW以上の太陽光発電を導入した場合は「産業用太陽光発電」と言う事になる。
従って発電容量10KWが住宅用と産業用を分ける分岐点となるのだ。
一般家庭の大きな屋根に設置した家庭用の太陽光発電は、その発電容量が10KW以上ならば「産業用太陽光発電」の扱いになる。

 

◆産業用太陽光発電

産業用太陽光発電はその発電能力(発電容量)によって法的な取り扱いが異なりますので、注意が必要です。

 

発電規模(KW)計画書使用前検査使用開始届主任技術者保安規定
50未満(低圧)不要不要不要不要
50~500未満不要不要外部委託
500~1000未満不要借用、譲渡○外部委託
1000~2000未満不要借用、譲渡○選任
2000以上借用、譲渡○選任

 

表を解説すると、50KW未満(低圧)と50KW以上では法的な取り扱いが大きく異なってくる。
50KW未満ならば保安規定や主任技術者の外部委託は不要となり、初期費用や年間費用が少なくて済みます。
主任技術者を外部委託しますと、年間数十万円の経費が発生します。次に500KW以上になると設備の新設時は必要ないが、譲渡や借用した場合には使用開始届けが求められる。
最後に1000KWを境として主任技術者の選任の義務が違ってくる。
1000KW以上のメガソーラーの設置には主任技術者を選任しなければなりません。そして2000KW以上になると、運転開始時の検査を受ける義務が生じます。

 

◆49.9KW低圧と50KWの高圧で比較する

49.9KW低圧は主任技術者の委託費用(4万円/月程度)が掛かりませんし、初期投資としてキュービクル(変圧器)の設置費用(120万円程度)や電力会社の接続費用(21万円)なども不要となります。従って経済計算をしますと、以下の通りとなります。

発電量は1KW当たり年間1000KWh、設備費は30万円/1KW、保守点検費は5千円/月と仮定して計算します。
売電価格は24円/KWh。

1、49.9KW低圧の太陽光発電
(20年間発電した場合、全量売電する)

設備投資費用
 49.9×30万円=1497万円

メンテナンス費用
 0.5×12×20=120万円

売電利益
 49.9×1000×24×20年=2395万円(千円以下は切り捨て)

収支計算
 2395-1497-120=778万円の利益

 

2、50KW高圧の太陽光発電
(20年間発電し、全量売電する)

設備投資費用
 50×30+120(キュービクル)+21(接続費用)=1641万円

メンテナンス費
 0.5×12×20=120万円

主任技術者委託費用
 4×12×20年=960万円

売電利益
 50×1000×24×20年=2400万円

収支計算
 2400-1641-120-960=▲321万円
321万円の赤字となります。

従って主任技術者の委託費用の低減や、初期投資の削減等の努力が必要になります。

この様に数字で計算すると「法的取り扱い」の違いがいかに大きいかがわかります。

 

◆主任技術者の外部委託限界の999KWの場合を試算する

太陽光発電の設置場所があると仮定して計算してみましょう。
計算の前提は50KWの場合と同じです。
(但しキュービクルやメンテナンス費は増えます)

設備投資費用
 999×30=2億9970万円+1500万円(キュービクル)

メンテナンス費用
 0.5×12×20年=120万円×10倍として=1200万円

主任技術者委託費用
 4×12×20年=960万円

売電利益
 999×1000×24×20年=4億7952万円

収支計算
 4億7952万円-2億9970万円-1500万円-960万円=1億5522万円

 

◆まとめ

以上、太陽光発電には「10KW」「50KW」「1000KW」「2000KW」で法的な取り扱いが異なってきますので注意を要します。

第一の判断基準は10KW未満の住宅用とするか、10KW以上の産業用とするかである。
産業用を選択する場合は50KW未満とするか、50KW以上にするかである。
50KW以上の高圧になると設備を管理する管理経費が高額になるから、できるだけ出力の大きな設備を設置することが有利になる。

ただし太陽光パネル設置の必要面積は1KW当たり、凡そ10m2必要であるから、土地の制約から大出力に出来ない場合がある。
50KWなら設置面積は50×10=500m2で済むのであるが、メガソーラーともなれば、その20倍、すなわち10000m2の土地が必要となり、一般庶民には困難である。
一番お得で可能性があるのは「発電容量50KW未満の産業用太陽光発電」と言う事になる。

初期投資が1500万円程度かかるが、20年で800万円程度利益が出て、さらに全量買い取り制度の後にも発電し電力会社に売電できるから、たとえ15円/KWhという安い単価であっても、50×1000×15円×10年=750万円-480万円(メンテナンス費)=270万円の利益が残る事となる。